純ジャパから見た海外・帰国子女から見た日本

正反対の二人が海外経験を通して得た出来事をお届け。

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【SANO】12月1日は世界エイズデー

気がつけばもう今年も残すところ後1ヶ月毎年毎年時間がすぎるのが早くなっている気がする。大人になるということはこういうことなのかと実感しつつある今日この頃。

感謝祭が終わったと思ったらやることが多く、精神的にやられています。大学も後一週間半で期末試験期間に入るのでますます忙しくなりそう。

と、その前に今日は「世界エイズデー」。日本の文化としてSEXや性行為感染症(英語ではSexually Transmitted Disease (STD)といいます)についてあまり公に話さない気がする。多分みんなシャイなのだろうか?

今日はちょっとこのブログでは初、性について書こうとおもう。みんなあまり話したがらないが、ものすごく大切なトピックだ。

私の家族は基本的にオープン。母も父も純日本なのだが、メンタルは海外生活が長いせいかあまり日本っぽくない。びっくりされることが多いが性教育について母から話をされたのは小学生1年生。もちろん「早過ぎる!」という人もいるかもしれないが、私は早く話してくれてよかったと思う。それもものすごくオープンに話してくれた。私が7歳ながら質問を投げかけると隠さず話してくれた。性教育がちゃんとされていないこの時代にここまで熱心に教えてくれた母には感謝だ。昔から生物学が大好きということもあり、今度6歳下の弟が性教育を学校で学んでいた時には私が説明した。すべて真剣に学問的に話したが、逆に私がエキサイトし教えなくてもいいことも教えてしまったかもしれない。やっぱり生物学が大好きな私。

 

エイズHIV。日本語で言うとヒト免疫不全ウイルス後天性免疫不全症候群。違いはなんだろう。簡単に説明すると、まずHIV(最後のVはviru/ウイルスのV)というウイルスがカラダに入る。これは性行為だけではなく、注射で摂取する麻薬や、数年前までは輸血の際、母体から胎児への感染ルートが主。でも今は薬で母体から胎児への感染は防げる。そして、献血の際にHIVの検査をするので、輸血の感染ルートはほとんどない。HIVが体内に存在する時点でエイズがあるとは言わない。HIVに感染したという。

そして、このウイルスが私達のカラダを病原菌から守ってくれる免疫組織に悪さをし、段々とカラダが蝕まれていく。もちろんこのウイルスを持っている人が必ずエイズを発症するとは限らない。でも多くの患者さんがエイズを発症し、最終的には免疫力が落ち肺炎などで亡くなる。

でも今は科学の進歩もありエイズの発症を防ぐ薬も出てきている。抗ウイルス薬やHAART療法といった治療法もある。だけど今はまだ「完治」は不可能。なるべく体内のウイルスの数を少なく抑える治療法しかない。先進国ではこういった治療が可能だが、問題はHIV/エイズが多い発展途上国での治療。薬代は決して安いものとはいえない。しかも一旦飲み始めたら死ぬまで飲み続けなければいけない。夏に国境なき医師団でインターンシップをしていた時にもこの問題が出てきていた。どうやってこの高い薬を貧しい人たちにも飲ませてあげられるか・・・もっと値段を安く出来ないのか・・・製薬会社にこの様なことを訴える活動も行っていた。

私が今友人や知り合いと話していてびっくりすることが多くの人が性教育をきちんと受けていないこと。これは性行為感染症についてもそうだが、妊娠についてもそう。

HIV感染を防ぐ最も有効な方法は教育だと思う。もちろん避妊具を使ったりするのも感染防止の手段の一つだとは思う。でも教育無しでは避妊具の重要性も学べない。そしてもう一つびっくりすることが、多くの人が避妊具を使わず性行為をしているということ。

余計なお世話かもしれないが、it only takes one time、一回だけ。

何度も性行為を重ねてどんどんHIVに感染していくのではなく、一回だけ避妊具を使わなかった時、その一回で妊娠してしまうかもしれないし、もし相手がHIVを持っていればHIVに感染してしまう。この一度の軽率な行為が人生を大きく変えてしまうことになる。

私は小さいころ父と母の仕事の関係でタイ・チェンマイにある「バーンロムサイ」というところをよく訪ねていた。ここはHIVに母子感染した孤児たちの生活施設。毎回ここの子供たちと大はしゃぎし走り回っていた記憶がある。だから私自身はエイズ患者やHIV感染者の人に対しての偏見は殆ど無い。これだけは言っておきたい。基本的にHIVを持っている人と手を繋いでも、ハグをしても、同じスプーンを使ってもHIVに感染することはない。もしHIVを持っている人が怪我をしていて出血をしている。そしてアナタも開いた傷があり、相手とアナタの傷口が触るようなことがあったら感染の可能性はある。でも相手が感染者であれ、感染者でなくても他人の血液を素手で触るという行為は論外。だから基本的に他人からの感染ルートはさっき書いた3種類:性行為、注射器などの使い回しと輸血。今でもやはり一番多いのが性行為からの感染と注射器などの使い回しだ。

今日、12月1日の「世界エイズデー」はエイズ蔓延の防止、エイズ患者やHIV感染者に対する差別・偏見を目的とする日。

先進国の日本や、アメリカに住んでいるとエイズはもう撲滅したのだろうかと思っている人がいる。日々の生活で感染者のことについてはほとんど聞かないし、私の周りには公に感染していると公言している人はいない。だが、世界では多くの人がHIVに感染し、エイズを発症しているのが現実。この「世界エイズデー」は一年に一回でも私たちにエイズのことを思い出させてくれる日なのかもしれない。

まず私たちにできることは…

①もっとHIV/エイズについて知ること。教育だ。これはもちろんエイズという病気について知ることもそうだが、今存在する治療法、感染ルートなど幅広くこの病気について勉強することがベスト。そして、HIV感染者は私達とほとんど変わらないということ。もちろん彼らは性行為をする時や、血液検査をするときに気をつけなければいけない。だが、それ以外は私達と全く変わらない。手も繋げるし、キスもハグも出来る。結婚し、子供を持つ人も多くいる。

②自分の身は自分で守る。これは女性でも男性でも同じこと。女性の場合避妊具、特にコンドームは妊娠を防ぐだけでなく、HIV感染予防のためにも大切なもの。だから自分を守りたいのであれば使用することをすすめる。

③定期的に検査を受ける。検査は採血をし、数日から数週間待てば結果が出る。これだけで感染しているかしていないかがわかる。私も実は今日、今出願している医学部のためにHIV検査を受けてきた。そこで採血をしてくれた看護婦の方に検査を受けに来る人は多いのかと聞くと、想像以上にいると言っていた。新しい交際相手が出来た人や複数の人と関係を持っている人が検査しに来るそうだ。

④この世界エイズデーについてまわりに広める。みんなでオープンに話せば恥ずかしいこともない。もっと多くの人にこの日のことを知ってもらい、HIV/エイズについて話すきっかけにしてもらえればなと思う。


と今日はちょっと過激なトピックだったが、忘れてはいけない大切なことだ。