純ジャパから見た海外・帰国子女から見た日本

正反対の二人が海外経験を通して得た出来事をお届け。

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【SANO】また日本人がノーベル医学生理学賞!

今日はサンフランシスコの記事の続きを書こうと思ったんだけど、急遽変更。

今朝起きたら日本人の大村智氏がノーベル医学生理学賞したという速報が入ってた。 やっぱり同じ日本人として活躍している日本人をみるのは嬉しいこと。

受賞者発表後の会見で、大村智さんは「微生物の力、借りただけ」と言っていた。 日本人ならではの謙遜ってやつ?あまり謙遜カルチャーをわかってない私には素直に「はい、頑張りました」って認めればいいのに・・・と思ってしまう。でもやっぱり日本人!私はもうちょっと謙遜出来るようにならなければ!

微生物学をとっている私としては彼の言っていることもわからなくはない。本当に微生物の力って計り知れない。地球上にほとんど空気がないときに誕生したのも微生物。何十万年と生きていると言われている微生物もいる。考えられないような環境に住んでいるのも微生物。私達人間には持ってない力を微生物は持っている。

微生物=細菌=病気って思う人がたくさんいるみたいだけど、私達の体調を管理しているのも、酸素を作っているのも、有機物を分解しているのも全部微生物。もちろん病気の原因は大半が細菌によるものだが、決して細菌=悪いものではない。微生物なしでは私達の生活、身体は保たれない。英語だったらもっと微生物の魅力について語れるのに〜〜〜!

ちょっと話がそれてしまったが、今年のノーベル医学生理学賞は3人に贈られた。 日本人の大村氏、ウィリアム・キャンベル氏と中国人のトゥー・ユーユー氏に贈られる。びっくりしたのが日本のメディアは基本的に大村氏のことしか書いてない・・・いろいろと見てみたが、ごく一部が冒頭で3人の受賞者の名前を出している。ほかは最後の方にちょこっと出してたり、出してなかったり。

彼らの受賞理由について簡単に書いてみようと思う。

まず、ウィリアム・キャンベル氏と大村氏は「線虫の寄生によって引き起こされる感染症に対する新たな治療法に関する発見」により受賞した。簡単に説明すると、線虫っていってちーーっちゃいイモムシみたいな寄生虫によって引き起こされる感染症に対抗できる成分を見つけたってこと。しかもこの感染症に対抗する成分は他の微生物から採取したものっていう。でも、ペニシリンも似たような方法で発見されたから意外とたり前なんだよね。だから微生物って本当に計り知れない!今では微生物を使ってガン治療をしようとか、エイズの治療法なども考えられているから今後の研究が楽しみ。 この発見によって何億人もの人の命を救えた。やっぱり研究ってすごい!時間はかかるけど、上手くいったときの達成感はすごいんだろうね。私自身一つの目標に向かって突っ走るのは大好きだからこういうのも向いている気がする。研究者の道も諦められないというのがこの頃の悩み。 本当に微生物学/細菌学が好きすぎて大村氏とキャンベル氏が発見した成分についていろいろと調べてしまった。

もう一人の受賞者は中国人研究者のトゥー・ユーユー氏。彼女は中国の漢方から採取した成分を抗マラリア薬として使えることを発見した。しかもマラリアを引き起こす種の中で一番やっかいなヤツに効果があるっていうからこれは本当に大きな発見。 私が国境なき医師団でインターンをしている時も何度もマラリアの話が出てきた。今でも東南アジアやアフリカでは当たり前の病気。先進国ではまれな病気だから研究も薬の開発もほとんど行われていない。

今年の研究は両方共先進国に住んでいる私達よりは、最も医療を必要としている発展途上国の人々のための発見。もっとこういったカタチで顧みられない疾病の実態がメディアに出ればいいと思う。まずは知ることから始まる。

そして何よりも去年に続き今年も日本人の受賞者がいることは嬉しい!