純ジャパから見た海外・帰国子女から見た日本

正反対の二人が海外経験を通して得た出来事をお届け。

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【SANO】He Named Me Malala

私はなにかに興味が湧くととことん突き詰める派だ。

理由は分からないが、この頃去年あのノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイにものすごく興味がある。もしかしたら今学期とっていたイスラムの授業のせいかもしれない。

まずユーチューブにあがっている彼女のインタビューや彼女を追ったニューヨークタイムズのドキュメンタリーなんかはほとんど観た。今は彼女の本、「わたしはマララ:教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女」を読もうと思っている。なぜ私がここまで彼女に惹かれるか・・・それは多分彼女がすごく刺激的だから。私は常に自分にないものを持っている人の話を聞きたい。それが例え私の得意分野とは全く関係なくても話をきいてみたい。全く違う分野にどっぷり浸かることは出来なくても話を聞くだけで世界が広がるし、知識も増える。マララに興味を持ち出したのはメディアの露出が多いからかもしれない。でもあんな幼い頃からどうしてあそこまで強い意志をもち発言してきたのだろう?と疑問に思った。

今彼女のドキュメンタリー映画、「わたしはマララ(英:He Named Me Malala)」がちょっとした話題になっている。話題と言っても多分ドキュメンタリー好きのあいだだけかもしれないが。

マララに興味があり、ドキュメンタリーも大好きということで私が見ないはずがない。丁度一学期の期末試験も終わったし、時間はたっぷりあるので観てみた。

率直な感想は大舞台でみるマララではなく、一人の女の子としてのマララを追ったドキュメンタリーだった。国連やトークショーでみる彼女ではなく、一人の17歳の少女。

ちょっと今日のブログでは私の感想を書いてみたいと思う。

まずタイトルからはじめよう。正直日本語のタイトルにはがっくり。英語のオリジナルのタイトルを日本語に訳したら「彼は私をマララと名付けた」となっているが、日本語のタイトルはシンプルに「わたしはマララ」。もちろんほんの少ししか違わないし、「私はマララ」も間違ってはいない、だって実際に彼女はマララだから。でもhe named me...には理由がある。マララとは彼女の生まれ育った地域に古くから伝わるお話の主人公からとった名前。主人公は勇敢な少女だが最後に銃で撃たれて死んでしまう。そんな悲劇的な主人公の名前をマララの父は選んだ。このドキュメンタリーの中心にはマララと彼女の父との関係が描かれている。だからこのHe named me...というタイトルがすごく大切なのに日本語のタイトルはそれを完全無視。

彼女の強み、それは彼女が「普通の少女」だということ。これは彼女がノーベル平和賞を受賞した時のスピーチでも語っていた。彼女は特別でもない。彼女のような子供たちはこの世界に何千人といるから。教育を受けたくても政治や宗教によって受けさせてもらえない少女がたくさんいる。彼女はそんな子供たちの一人。だが、彼女には特別な親がいる。彼女が言うに、もし普通の親であれば、すでにマララには2人の子供がいるはず。でも彼女の父が学校の経営者/校長だったからこそ彼女は教育を優先できた。そんな何百、何千人もの女の子を代表し、メディアに出ている彼女。彼女が言うように「普通の少女」かも知れないが、やっぱり彼女の言葉には特別なパワーがある。これは彼女が普通であると同時に特別であるから出てくる言葉なんだろうと思う。

正直去年彼女がノーベル平和賞を受賞した時にちょっとかわいそうだなと思った。基本的に受賞者は50、60、70代の人がほとんどだが、彼女は異例の16歳という年齢で受賞した。ノーベル賞は賞の中でも最高峰と言われているのに彼女は16歳で受賞してしまった。彼女の活動、活躍が認められているという証でもあるが、同時にこの賞を受賞し、次はなにがあるのだろう?と思った。彼女は今後の長い人生この賞の受賞を超える快挙を成し遂げることは出来るのだろうか?相当なプレッシャーだろうとも思った。でもこの映画をみていると彼女にはまだ世界をびっくりさせるなにかを持っていると感じた。

なくしてみないと分からない大切さ。これは私も実際に家族から離れて分かったこと。彼女は教育をタリバンに奪われて教育の大切さを知った。私は今まで教育を受けられないようなことがなかったので、これを観てどれだけ学ぶことが大切なのかを再確認した。当たり前に思っていることも実際に当たり前ではないということ。今の恵まれた生活を当たり前と思ってはいけないということは忘れてはいけない。

私はこの映画を雨がしとしとと振り、ちょっと暗い落ち込みそうなときに見たいと思った。すごくパワーを貰え、自分も頑張らなければ!とモチベーションが上がる映画。それと同時に今自分のおかれている環境のありがたさなんかも身にしみる映画だ。年末、新しい年に向けて気合を入れ直す時。新年自分のモチベーションを上げるときにこの映画を観てみて欲しい。