純ジャパから見た海外・帰国子女から見た日本

正反対の二人が海外経験を通して得た出来事をお届け。

New Podcast
海外に住んで視点が変わって見えてきた世界

家族のあり方

私はアメリカの文化で家族同士の愛情表現方法が大好き。

昨日は1日中、Thanksgivingのお祝い。私もちょっとしたアペタイザーを朝から作り、彼のSide Dish作りも手伝った。彼の両親の家には午後の2時頃みんな集まり、食事はだいたい3時頃から始まる。

食事の始まる前はアペタイザーをつまみながら、みんなでテーブルセッティングや最近の近況報告などをする。久々に会う人もいたので、話が弾む。

彼はボストン生まれボストン育ちのアイリッシュ系アメリカ人。生まれた病院も、通った小中高も、職場も全部家の近くにある典型的なボストニアン。ボストンはアイリッシュの多い街で、ボストンにいる白人はだいたいの人はアイリッシュ。

アメリカに来た最初の2年間は、日本でウエイトレスとバーテンダーとして長年働いていたアウトバックの私の常連のお客さんがフィラデルフィア在住なので、招待してもらいThanksgivingを過ごした。アメリカに来たばかりで、友達も少なければThanksgivingがどんなものなのかも理解しきれていなかったので、「アメリカの本場のThanksgivingを体験しなさい」といってくれたのに甘えさせてもらった。

1年前は社会人として働いていたのでThanksgiving Dayの次の日のBlack Fridayの日も普通に仕事があるためボストンから離れられずにいたのと、彼の実家に招待されたのでそちらにお邪魔をし、今年も去年に引き続き招待してもらった。


この冬のホリデーシーズンにアメリカにいると、ホームシックになる。日本にいるときは、毎日忙しく友達ともしょっちゅう飲みに行き、家には寝に帰るだけの生活を送っていたので、家族との時間というのもあまり考えずにまるで自分一人で生きているような感覚だった。

お母さんの中で、クリスマスの日は家族で過ごすという決まりがあり、友達と過ごしたいのに!!と文句をいいながら、高校生まで12月25日は家族で過ごしていた。

そんな私の考え方が変わったが、19歳のときにカナダに留学をしてから。ホストファミリーや、ベビーシッターをしていたファミリー、当時のカナディアンの彼氏のパーティーに招待されて身をしみて実感した家族愛。日本人て、家族に対して"I love you"なんて一生言わない。カナダやアメリカでは(もちろんヨーロッパもそうだと思うけど)、孫がおばあちゃんのほっぺにちゅってして「いつもありがとう。」って言いながら強くハグをしているところを真横でみてとても感動したのを覚えている。

とにかく家族の時間を大切にし、美味しいご飯をふるまってくれて、食事の後は赤ワインを楽しみながらリビングルームのソファーの周りで暖炉で暖まりながらパパと息子がギターを弾いて娘が歌う。映画でよくみるような光景を体験した後に日本に帰ってからは、自分の家族とのことも考えるようになった。

私は長女のくせに、あまり兄弟の面倒も見ず、小さい頃からお稽古事で毎日忙しくしていて、時間があると友達と遊ぶ。それにダンスをしていると、周りの人はみんな大人だったので小学生の頃から大人のたくさんいる環境の中で育った。

「家になるべく居たくない、外の世界を早く見たい、子供っぽく見られたくない!」

と、なんとも子どもらしくない子どもだったおかげで、この私の行動力や度胸が磨かれたのだと思う。いつもお母さんには、決定事項を報告する子どもで相談をせずに全て決めてしまう。もうお母さんに話す頃には、自分の中でやると決めたことなのでどんなに反対をされても耳を傾けない。いつからか、「xxxxしようと思うんだけどどう思う?」と聞いても、「もうやるって決まってるんでしょ?」と返事をされるようになった。

今でも事後報告なところは変わらないが、家族との仲が深まったのは私がカナダから帰ってから。兄弟みんなが成長したのもあり、一緒に遊びに出かけたりできるようになった。お母さんが積極的に家族やおばあちゃんとの時間を作ろうとしているのも、昔は気づかず、いやいや参加していた気持ちもまったく無くなった。

アメリカにいると日本には多く帰れて年に2回。チケットも安いわけではないので、実際は年に1回帰れるくらい。今年の夏は、日本に住んでいる他の親戚よりも圧倒的におばあちゃんの家に行っていた。海外に住むことで一番考えさせられるのは、家族にすぐに会いにいけないこと。なにか緊急の出来事があった時にすぐそばにいることができないのは本当に寂しい。

アメリカの方が日本よりも離婚率が高いし、複雑な家庭環境の人も多いし、裕福ではない家庭もあるに違いない。けれども家族そのものを大切にし、愛情や尊敬を言葉で表現しているのを見ると、日本にはない文化だけれども、やっぱりいいなあと思う。ハグをすることによって、自分のテリトリーの中に入ってくることに心を許し、肌と肌がふれあうので、心をオープンにすることができるのではないかと思う。

私はおばあちゃんに心をオープンにしてないわけでは決してないのだが、ハグをするのは考えられないし、想像もつかない。

もちろん日本の文化のいいところ、アメリカの文化のいいところ、それぞれ全く違う。

日本には、言葉を必要としなくても理解し合えるという素敵な文化があるので、ハグは必要がないんだと思うし、目上の人を強く尊敬する文化なので、同じ視点での会話をすることはないんだと思う。きっと、アメリカ人は日本の文化を理解するのにはかなり時間がかかりそうだ。

それでも、私はアメリカ人のストレートに物事を伝えたり、家族同士の愛情表現方法が大好き。私もやっぱり、思ったことは「わかっているだろう」という期待をせずに、きちんと口に出して伝えることは大切だという考えに変わった。

約一ヶ月後には、日本に一時帰国。家族に会えるのがとっても楽しみ!