純ジャパから見た海外・帰国子女から見た日本

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【SANO】アメリカのこれから

ちょうどアメリカの次期大統領選から1週間がたった。

この1週間日本のニュースサイトをみても、アメリカ、イギリスのニュースサイトをみても毎日と言っていい頻度で乱闘や、デモの映像が流れている。正直デモの映像ばかりみているとアメリカ大丈夫か!?とも思ってしまう。いや、多分日本の報道しかみていない人たちは本当に不安になっているだろう。

今回の大統領でアメリカの国民がトランプ氏を選んだということは、今のアメリカ社会を象徴している。トランプが選挙運動で語っていた政策はどれも内向きな変革を望んでいるものだと感じた。例えば、メキシコ人の違法移民は皆強制的に追い出し、国境には大きく美しい壁を作る・・・中国がアメリカにものを輸出するときには税金をもっと払わなければいけない・・・日本や韓国はアメリカに守られてばかりだから核兵器を持つべきだ・・・などなど。これらはアメリカの経済、治安、政治をよくする対策ばかり。アメリカに住んでいた私も、あそこはいい国だと思うが流石にここまで自己中心的なことを言われたらアメリカ国民のことを批判的な目でみてしまう。

もちろん彼が大統領になったとしても100%の権力を握ることは不可能なので、この多くの政策は打ち消しになるとは思う。実際に、「(メキシコとの国境には)大きく頑丈な壁を作る!」と公言していたが、つい先日のインタビューではフェンスでもいい地域もあると言っていた。オバマケア(オバマ大統領が提案した医療保険制度)も全部変える」と言っていたが、実際のところ良くない部分だけ変えるらしい・・・。でもこういった発言をしていた候補をアメリカは選んだ。

ニュースをみていると2パターンのデモがある。一つはトランプ氏を認めない派のデモ。そしてもう一つはマイノリティーに対してのヘイトスピーチ。もう次期大統領に決まってしまっているが、やはり納得できない人たちはたくさんいる。そんな中続々と選挙運動中はヒラリーを支持していた有名人がトランプ氏を自分の大統領と認めると発言をしている。彼らが発言したところで、反対派の意見が変わるかは分からないが、やはりこうしてゆっくり一歩一歩認める方向に進まなければいけない。

私がこの選挙戦をみていてトランプ氏が大統領になったと聞いた時に一番不安に思ったのはアメリカの経済でも、世界への影響でもない。それは、子どもたちへの影響。彼の発する事、そしてメディアで取り上げられていることは普通親が子供にしてはいけないということ。ヒラリーを支持していたコメンテーターの人が、トランプ氏に決まった時に「朝おきてどう息子と娘にこのことを説明すればいいかわからない」と訴えていた。 カリフォルニア州のサンバーナディーノという町で起こったISの信者によるテロ事件の後にトランプ氏はイスラム教の人がアメリカに入国することを禁じたほうがいいと発言した。もちろんこんなことが許されるわけも、可能なわけもなかったので、実際に行動には移されなかったが、このような発言をしたことによってアメリカ人のイスラム教信仰者をターゲットとしたデモが学校や、まちなかで起こっている。その他にも、「(違法移民の)メキシコ人は強姦犯だ」と発言したことにより、メキシコ系のアメリカ人がヘイトスピーチのターゲットとなっている。同性愛者や、LGBTQの人たちも、今後が不安でしょうがないと発言している。KKKの昔のトップがトランプ氏を支持していたこともあり、黒人のアメリカ人はもしかしたら自分たちは強制収容所に入れられるのでは?と口にしている。

トランプ氏は「自分は今分裂しているアメリカを一つにする」と発言しているが、彼の行動と考えが伴っていないと思うのは私だけだろうか?実際にここまで分裂させたのは彼ではないか。今回の選挙戦でどれだけメディアのバイアスがかかった報道がされていたかは分かったが(多くのメディアはかなりの確率でヒラリーが勝つと言っていたし)、メディアに思うように使われるような発言をしているのも事実だ、彼は「authentic」とか、「political correctness(政治的・社会的に公正、公平で中立的)を無視して市民が思っていることを言ってくれる」とのことで支持されていたが、果たしてそれがどこまで大統領として通用するのか?アメリカの今後が不安と同時にすごく気になる。どうか悪い方向には行ってほしくない・・・。

ヨーロッパのリーダーたちがトランプ氏が次期大統領で不安と発言している中、「今後一緒に働けることが楽しみ」といいことしか言わない安倍総理にも疑問を覚えるが・・・。